タイムカマド(第1章5話)

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 『わかりすぎるbe動詞』は、素晴らしい冊子だったとネコは思います。これをくり返し音読したことで、相当自信がついたからです。魔女とのレッスンでもいい直されることが少なくなったし、それどころか、ちょっとした発音でさえ「いいね」なんて、感心されたりもするのです。

 ネコはクモのいっていたことは、まんざらウソでもなかったんだと思いました。寝てるばかりの生活をやめて空いた時間に勉強しておけば、言葉の間違いもグンと減ってくるものなのです。「アイツ、何ていってたっけ?『正しい生活と英語は、結構うまくいく』だっけな?」

 ネコは他にも何かテキストがあったなら、こっそり読んだり書いたりする練習を始めておこうと思いました。そこで、通常レッスンに使っているリビングに入ってウロウロしていると、魔女がけげんそうに入ってきました。

「あのう、英語の本ってあるんっすかね。ちょっと読んでみたくなって」

「英語の本だって?」と魔女はすっとんきょうな声を上げると、ネコに疑わしそうに「お前、あの水晶が気になるんだろ?」と聞いてきます。

 いわれて初めて、ネコは魔女のリビングに大きな水晶があったことを思い出しました。そういえば、夕べ魔女はそれをのぞき込んで、ゲラゲラ一人笑いをしていたものです。

「あのねえ、知ってのとおり、あたしは魔女。見えない力をもってるだろ。でもそういう力のないもんがいっくら水晶をのぞいたところで、結局何にも見えないのさ」

 魔女はいたずらっぽく目配せすると、ネコをいつもの階段脇まで連れ戻し、クッションに押し込みました。それから、自分はサッサと裏口からどこかに外出してしまいました。

 ドアが閉まると、ネコはここぞとばかりにリビングに走って戻ります。「見ろっていわれると見たくないけど、見るなといわれると見たくなる …」

 魔女の水晶はタンスの上で、ビロードの布に包まれネコを待っていたかのようでした。布をほどくとピカリと反射して、テーブルに置くと回転してからピタリと止まります。ネコは目を閉じ念を唱えて、水晶をのぞき込んでみました。何も見えないのでもう一度まばたきすると、水晶の奥深くで青と白の点が結びついたようです。

 いつのまにか、ネコは真っ青な晴れた日に、白いバルコニーに立っていました。金のひも飾りが肩についた赤い上着を着て、花のついたベールをかぶった若いネコといっしょに、観衆に手を振っているところです。「バンザーイ、バンザーイ」と歓声が、波のようにこだましました。

 ネコがベールをたぐり寄せると、観衆が急に静まり返りました。どうやらここで、ネコは集まった人たちに向けて、何かスピーチをしなくてはならないようです。「どうしよう。オイラ、この子の名前すら知らない …」

 ネコが焦っていると、ベールのネコが顔を赤らめて「あたしロージー(I’m Rosy.)。あなたの花嫁(I’m your bride.)」と、小声で教えてくれました。「なあんだ、『be動詞』か。カンタン、カンタン」と、ネコは姿勢を正すと片手を上げて、広場のはずれまで届くように声をはり上げました。

 「This is Rosy. He is my bride.」

 広場中にドーッと大爆笑が広がりました。なかにはお腹を抱えながら、バルコニーにいるネコに向かって紙吹雪を投げつけるものまでいます。あたりは大混乱になってきました。

 その時ベールの下から尖った爪がとび出して、ネコは顔をカリッと引っかかれました。「イテッ」と思って目を開けると、そこはリビングのテーブルで、魔女が仁王立ちになってネコを見下ろしています。

 「忘れ物を取りにきたらこの始末か。でも夢でも見られただけお前、結構イケてんのかもよ」


🐤ブンポウの話 

 前回ネコから説明のあった「be動詞」の表現には、少し慣れたかな?

 ここでは、すでに出てきた「I」や「We」などについて(「人称代名詞」の主格)、ポイントを整理してみよう。

      🔑「I/my/me/mine」表を出して、一番左の「I」の縦項目を参照

●人称代名詞(主格)

◎意味:「~は」「~が」

◎文の(たいてい)最初、主語にあたる部分で使う

◎be動詞との組み合わせは、以下の通り

・I am ~/私は~ 

・You are ~/あなたは~・あなたたちは~ ㊟単数と複数

・We are ~/私たちは~

・He is ~/彼は~

・She is ~/彼女は~

・They are ~/彼らは~・それらは~ ㊟複数の「人とモノ」

・It is ~/それは~

◎二文めからの置き換えで使う「人称代名詞」

例)Rosy and I are from Canada. Rosy and I are good friends.△

  ⇒Rosy and I are from Canada. We are good friends.〇

●Itの表現 (1)

 次のような表現では、人称代名詞の原則に反して「It」が最初から主語になる

◎時間      It’s ten o’clock.

◎日にち、曜日  It’s May 17.

◎距離      It’s a long way from my house to the station.*

◎天気      It’s a nice day.

                      *from ~ to … ~から…へ


Q)どうしてネコは観衆に笑われたのだろう?

A)「She is ~」というところを「He is ~」といってしまったから