ネコは、魔女のレッスンが好きか嫌いか聞かれたら、嫌いな方だと答えると思うのです。魔女は急に大きな声を出すし、ネコが発音してるそばから、かぶせるようにいい直したりもするのです。おまけに、何度も何度も同じ単語をくり返しいわせるのが、しつこいったらありません。
それでも何となく合わせているのは、少なくとも魔女が外出しさえすれば、ネコがこの家の主人になったかのように、悠々自適に足を伸ばしていられるからです。「『生きることは、ゆったりすること』っていってね。あの魔女にはオイラの方針がわかってないらしい …」
そんなある日、魔女はネコを玄関先に呼びつけるといいました。
「本当に申しわけないんだけど、あたし、ちょっと遠出しなくちゃならなくてね。だけど、お前、だいじょうぶかい?」
「留守番てことっすか? はあ、何とかやってみるっすよ」
ネコは内心「願ってもない」と思いましたが、もったいぶってそう答えました。魔女は姿見の前に立ってマントのすそをチェックしたり、帽子の位置を直したりしながら、ネコに何度もいい聞かせます。
「いいかい、誰が来ようがドアを開けちゃダメだよ。それから、小さい窓だって開けるんじゃないよ。庭にだって出るんじゃないよ。どこへもいくんじゃないよ」
ネコがとりあえずうなずいておくと、魔女は台所の裏口へまわって、やっとそこから出ていきました。
ネコはバンザーイと跳び上がると、さっそくクッションに横たわりました。久しぶりに指の間まで伸ばしてみると、大きなあくびが出てきて、ウツラウツラと眠くなってきます。すると、ネコの鼻先に天井からクモの糸が一本、ツーッと下りてきました。
「気になりますわね、怠けものさん」
「?」
「ゆったりするのはいいけれど、『正しい生活と言葉の正確な使用とは影響し合う』っていい伝え、ご存知でしょう?」
「なんすか、それ?」
「あきれた! あなたがここに来たのはたぶん、英語を学ぶためなんでしょう? だったらシャキッとしてないと、身につくものも身につきませんわ」
クモは八本の足を動かして、自分の糸を大きく揺らしていきました。揺れる方向には壁ぎわに背の高い柱時計があるだけです。
「ほらね、ほらほら、ここに何があるかなんて、あたくし誰よりわかっておりますのよ。この階段脇は今までわたくしだけのスペースでした。なのに、あなたが乗り込んでくるから …」
ネコに捕まえられるとでも思ったのか、クモはスルスル糸をたどって迷路のような巣の中に戻ってしまいました。そして、待っていた子どもたちに次々とハイタッチすると、びっくりするほど上品な発音で、四つの文をいったのです。
This is my web.
These are my babies.
That is your cushion.
Those are your books.
「わたくし子育て、あなたはお勉強。これからはお互いやるべきことをやって、少なくともこの階段脇では干渉しないようにいたしましょうよ」
🐤ブンポウの話
以下の四つの単語は、モノを指すのに使う指示代名詞だ。
やっかいなのは、モノの数が「単数」か「複数」か、そして自分から「近くにある」のか「遠くにある」のかで使う表現が変わるところだ。
テーブルの四つの角にモノを置いて、指さしながらスラスラいえるまで練習しよう。
●This/These/That/Those
文中の表現
□This is my web. これは、私の巣です(近く・単数)
□These are my babies. これらは、私の赤ちゃんです(近く・複数)
□That is your cushion. あれは、あなたのクッションです(遠く・単数)
□Those are your books. あれらは、あなたの本です(遠く・複数)
㊟上記表現は、人を紹介するときも使う
(ただし、人は指でなく手の平で指すようにしよう)
👉単数は「is」複数は「are」という単語と結びつくことにも注目しよう!
🖊myとmine
◎上記英文は「~のもの」という単語を使って、次のようにも書き換えられる
・This is my web. ⇒This web is mine. 私のモノ
・These are my babies. ⇒These babies are mine.
・That is your cushion. ⇒That cushion is yours. あなたのモノ
・Those are your books. ⇒Those books are yours.
🔑「I/my/me/mine」の表を手元に置くと、左から二つめ縦項目が「~の」、四つめの縦項目部分が、一語で「~のもの」という意味